ポラン動物病院は、動物病院とは、動物の病気をなおすだけでなく、いのちの大切さや適正飼育を推進する場でもあると考えます。様々な動物に関わるご相談をお受けいたします。

そこで、当院の基本的な考え方として掲げているのが「動物福祉」という概念です。

動物愛護と動物福祉の違い

いわゆる「動物愛護」という言葉は主体は「ひと」であり、かわいい・かわいそうなどの心情的・感情的・主観的なものです。

「動物福祉」とは、主体は「動物」であり、客観的に飼育環境、動物の状態を測定・評価し動物の生活の質(QOL)を向上させることを目的とした科学的・論理的・客観的なものです。

当院は動物福祉の向上を基本的な考えとし、日々の診療、適正飼育推進にあたっていきます。動物福祉には、国際的な基準として「5つの自由」という原則があります。こちらに基づき、客観的に評価・改善していきます。

5つの自由

  1. 飢えと渇きからの自由
    きれいな水と食餌をあたえること
  2. 不快からの自由
    動物種にあった快適な温湿度
    清潔で危険物のないリラックスできる環境
    雨風雪や炎天下を避けられる休憩場所の確保
  3. 痛み、負傷、病気からの自由
    予防的獣医療と迅速な診断、治療を与えること
  4. 恐怖や抑圧からの自由
    恐怖や精神的な苦痛・不安を与えないこと
  5. 正常な行動を表現する自由
    動物種にあった快適な環境を与えること
    その動物の本来の生態・習性が発揮できるようにすること
    (正常な行動ができる十分な広さや高さ、隠れ場所など)

当院でのとりくみ

1.外の猫をへらす・地域猫活動への不妊手術の協力

交通事故で亡くなる猫の頭数は、行政により収容・処分される頭数の何倍にもなると言われています。また近年ではひとによる虐待によって命を落とす外の猫もいます。

他にも糞尿の被害によるトラブル、生態系の破壊、ケンカによる負傷…など、猫の福祉を考えるにあたり、当院では猫は室内で飼育し、外に生きるべきではないと考えます。

全ての外猫を保護、家の中で飼育するのが理想ですが現実的に難しく、これ以上増やさないために、TNRという活動があります。

Trap (捕獲)
Neuter(不妊)
Return(元に戻す)

継続して行う事で、少しずつ計画的に外の猫を減らす活動です。

当院では「練馬区飼い主のいない猫の地域猫活動ガイドライン」に基づいて、助成金の申請を含めた不妊手術への協力を行なっています。(無料ではありません。また、今後譲渡する予定の保護猫にはご利用できません)

捕獲・保護された猫が子猫の場合は、生後2ヶ月前後から避妊・去勢手術を行う「早期不妊手術」を積極的に行い、譲渡後の繁殖を防ぎます。幼少期の手術は精神的トラウマも少なく、麻酔の覚醒・術後の回復もはやいのが特徴です。性成熟前の不妊による精神・身体的成長への影響などは、学術的にも大きな問題はないと言われています。

※大変申し訳ありませんが、当院では捕獲のお手伝いはしておりません。また愛護団体、ボランティアさんのご紹介はしておりません。捕獲に関してはご自身で行うか、愛護団体さんをお探しくださいますようお願いいたします。

練馬区地域猫助成金を用いた不妊手術の実績

2020年 127頭 (オス69頭、メス58頭)

2021年 262頭 (オス137頭、メス125頭)

2022年 138頭 (オス69頭、メス69頭)

2023年 103頭 (オス46頭、メス57頭)

2.保護動物ルーム併設、不妊手術・譲渡推進

※2024年現在、保護頭数上限のため、引き取りは停止しております。よく陽のあたる窓際に保護動物のお部屋を設けました。止むを得ず当院で引き取った保護動物は必要な予防・不妊・治療を行います。そして人馴れしている子などはそのお部屋で日中を過ごします。

歩道側と待合室からも見ることができ、動物福祉への啓蒙と譲渡推進の場を目的としています。里親募集中の動物の様子は、保護動物のページ当院インスタグラムをご参考ください。

動物を拾った、引き取り希望などについては、基本的に地域の方からのお問い合わせを優先いたします。まずはお電話にてご相談ください。保護頭数に限りがありますのでお断りせざるをえないケースもございます。

保護・譲渡実績

2019年 保護12頭 譲渡9頭

2020年 保護28頭 譲渡26頭

2021年 保護23頭 譲渡18頭

2022年 保護15頭 譲渡13頭

2023年 保護7頭 譲渡4頭

3.ご家族への終生飼育・適正飼育などの飼育指導

当院院長が開業して一番行いたいと思っていたのが、実は3番目のこちらです。

動物を不幸にしたいと考えて飼育する方は誰もおりません。ただ、止むを得ない事情や、知識不足、病気、災害・事故などでひとも動物も不幸になってしまったり、他のご家族へ譲らなければならなくなったりすることがあります。

また、動物が今辛い状況にあることを、そもそもご家族が認識していないこともあるのです。

当院では子犬、子猫など幼い頃からシニアに至るまで、どの段階の子に対してでも、ご家族の一員として適切な飼育ができるようアドバイスいたします。

幼い頃のしつけ指導、予防医療の習慣づけ、不妊治療の徹底から、現在の食餌、運動、スキンケア、治療、しつけにいたるまで獣医師としてなんでもご相談に乗ります。飼育が困難となった場合もご相談ください。まずはお気軽にお問い合わせください。

4.不妊手術の徹底

いわゆる野良猫のご近所トラブルや、保健所などに収容される動物の殺処分の問題は、過剰に繁殖してしまったケースが多いのが現状です。

また、「うちの子は外に出ないし」と思っていても、現在日本では災害も多く、絶対に動物が外に出ないとも限りません。

当院では不幸な動物を減らすためと、病気の予防のために不妊手術(メスの避妊、オスの去勢)手術をお勧めいたします。飼い猫ちゃんに対しては練馬区では助成金の申請が可能です。練馬区保健所か、当院にお問い合わせください。

女の子の不妊手術のメリット(卵巣・子宮全摘出)

  • 子宮蓄膿症などの命に関わる病気を防ぐことができます。
  • 初回発情までの避妊手術は、乳腺腫瘍の発生率を下げます。
  • 発情にまつわる問題(犬の出血、偽妊娠、猫の鳴き声など)から動物を解放させます。

女の子の不妊手術のデメリット

  • 全身麻酔を行います。術前に血液検査などで麻酔がかけられるかの検査が必要です。
  • 太ってしまうことがあるので食事の管理が必要です。
  • いぬで尿もれが術後におきることがあります。(神経の問題が関連していると言われています)

男の子の去勢手術のメリット

  • 犬で、若い頃に去勢すれば、マーキング(いわゆるかけション)、腰振りなど不適切な行動を予防する効果があります。猫ではスプレー行動といわれるおしっこのマーキングが抑えられます。
  • なわばり争いなどによる喧嘩が減ります。
  • 犬で男性ホルモンの影響による腫瘍(肛門周囲腺腫)や、前立腺肥大を抑えます。

男の子の去勢手術のデメリット

  • 全身麻酔を行います。術前に血液検査などで麻酔がかけられるかの検査が必要です。
  • 太ってしまうことがあるので食事の管理が必要です。
  • 犬の前立腺ガンは、去勢した犬の方が去勢していない犬より発生率は高いと言われています(そもそもの発生率は非常に低いガンです)
  • 大型犬は、早期の去勢では骨肉腫の発生率があがるというデータもあり、一歳以降での手術をすすめるケースもあります。
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