縫い針を飲んだ猫

猫はひものような細長いものが大好きで、遊んでいるうちにベロに絡まったりして飲み込んでしまうことがあります。そして、家庭では針付きの糸を飲んで問題となることは非常に多いです。以前、針が喉にささった例をご紹介しましたが、今回は針が小腸まで到達していた例です。

生後半年のオスの猫ちゃん。昨晩、縫い針がなくなってしまった、猫が飲んだかもしれないと来院されました。本人は症状もなく元気そうでしたが、レントゲンを撮ると、針がしっかり写っていました。

丸く囲んだ部分に針が写っている

仰向けの状態

胃から流れて小腸に達してしまっているので、内視鏡では摘出できません。また、このまま通過して便で出るのを待つには子猫で体が小さく危険です。針先が腸に穴を開けてしまう可能性があるからです。というわけで全身麻酔下でお腹を開けて腸から摘出することになりました。手術は絶食でないと行えませんが、朝ごはんを食べていたため、胃がからっぽになる夜になってから手術となりました。(その間に腸に針が刺さったらとひやひやしました・・)夜に再度レントゲンを撮り胃の中が空っぽなことと、まだ小腸に針が残っていることを確認しました。

全身麻酔下でお腹を開けて腸を確認すると、針の先端が少し腸の中で引っかかっていそうな状況でした。

手術前にバリカンで毛をかって消毒

不自然に直線的になった小腸。よく見ると左側に針先がつきでそうになっている。

小さく腸をメスで切開し、慎重に針と糸を取り出しました。

切開しているところ

針をカンシで掴んで出している。糸がついてきている

摘出した針と糸

中央にある赤い点が針先の当たっていた部分

針先が当たっていた部分は赤くなっておりましたが、大網で包んで癒着を促すことにしました。

切開部を縫ったあとは、他に異常がないか胃、腸管を確認して終了です。

翌日からお水、流動食を与え、三日後には退院しました。

お裁縫道具の中身を猫がいじって誤食してしまう事故は多いです。再発防止のためにはお裁縫の時は猫はケージに入れておくなどしましょう。また、誤食してしまった際は、なるべく早く病院に行きましょう。胃の中で止まっているうちは、ものによりますが内視鏡で摘出することが可能です。お腹を開けませんから通常は日帰りで、費用も安く済みます。当院は内視鏡がないため、その場合は他の病院へお願いすることになります。

 

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