猫の嘔吐・針付きの糸を飲んだケース

初めにお伝えいたしますと、この症例に関しては当院にて検査診断ののち、救急センターにご紹介し無事治療してもらったケースですので、当院の治療例とは言い難いです。しかし「こういうケースもある」ということでご紹介いたします。

昨晩、糸を吐いた後から具合が悪いという猫ちゃん。猫ちゃんが糸を飲んだことを、飼い主さんは吐くまで気が付きませんでした。そしてその糸は針と一緒に飲んだ可能性があるというのです。すぐにレントゲンを撮ると、下のような写真でした。

拡大するとこのような状態です。


喉元に、縫い針が口元方向に刺さる状態で存在しています。

おそらく糸とともに飲み込み、嘔吐時に糸は吐いたものの、針は運悪く舌の根元に刺さって吐けなかったのでしょう。猫ちゃんはとても辛そうでしたが無理もありません。

実際の身体検査では、喉の奥までは確認することができず、いずれにしろ鎮静もしくは麻酔が必要です。他に異物がないか腹部のエコーやレントゲン検査を行いましたがそちらは大丈夫なようでした。この針を抜くには、針を口から喉の奥方向にむかって抜かなけばなりません。処置の際に出血した場合、抜いた針が食道に落ち込んだ場合は内視鏡の設備がないと危険と思われました。当院にはその設備がないため、救急病院にそのまま紹介し、そちらで全身麻酔下にて針を抜いてもらいました。

幸いなことに抜いた後は順調に回復されました。下の写真は後日当院にて撮影しました。

 

お裁縫道具の糸や針を飲んでしまう事故は珍しくないですが、このように嘔吐して逆方向に刺さっているケースというのは珍しいです。いずれにしろ針仕事やアイロンがけなど事故につながりやすい状況がある場合は、猫は他の部屋に隔離しておくのが良いでしょう。

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