犬の歯が折れた(破折)・根尖病変・抜髄根管治療
※個々の症例に対し、お電話のみでのご相談はお受けしておりません。一度診察にいらしてください。
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コンポジットレジンによる被せ物をしている。
3歳の柴犬のわんちゃん。右上顎の奥歯(第四前臼歯)が欠けてしまい(破折)、受傷後間もなかったため歯髄を少し削っての保存修復を行いました。しかし6ヶ月後の再検査にて、レントゲン検査で修復した歯に根尖病変を認めたため、歯の神経を抜く抜髄根管治療を行いました。
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レントゲン検査検査。根っこの周囲にある黒い部分が病変(オレンジ転線部分)
根尖病変は歯の神経が炎症を起こすなどし、歯の根っこの部分で膿んだり炎症を起こすことです。放置すると痛みが生じほっぺたが腫れて膿が出ることもあります。今回のケースは、破折後に起きていることから、歯の欠けた部分から歯の神経である歯髄が細菌感染を起こしたと考えられました。上顎第四前臼歯は歯の根っこが三つに別れていて、それぞれに歯髄がありますので、それぞれの歯髄を綺麗に取り除き、拡大(歯の根っこの空間を広げる)、洗浄をしっかり行います。前回の被せ物を取り除くと、ほとんど歯髄からの出血はありませんでした。
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コンポジットレジンの被せ物を外したところ。セメントを詰めた部分周囲の歯質が変色している。
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ダイヤモンドバーでセメントを除去している。
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通常、歯髄に到達するとある出血がなく、がらんとしている。
健康な歯髄からは通常赤い血が溢れ出てきますので、歯髄が壊死していると考えられました。
唾液からの感染や、消毒薬の刺激から口腔粘膜を守るラバーダムというシートを歯の周囲にかけ、ファイルという歯髄を取り除く器具で3本の根っこを一本一本治療しました。
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金属の棒(ファイル)を歯髄に挿入し、長さをレントゲンで確認しているところ
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青いシートがラバーダム。周囲をコーキング材で埋めている。3本の歯髄腔を拡大、洗浄しガッタパーチャと呼ばれる樹脂(写真のベージュの棒)で埋める。
殺菌効果のあるシーラーという物質を用いてガッタパーチャ3本をしっかり挿入したあとは、コンポジットレジンという被せ物で少しずつ覆っていき、終了です。半年後、1年後、2年後にレントゲンを撮り確認していきます。ほっぺたが腫れたりしてかかりつけ医から抜歯と言われたという方も、歯を抜かないで済む治療の選択があるということをご検討くださいね。