犬の歯が折れた・欠けた(破折・歯を温存する治療)

犬の上の奥歯は硬いものを噛むとすぐに欠けてしまいます。歯の神経が露出するほど欠けてしまった場合はそのままにすると痛みが継続するだけでなく、歯の神経が感染をおこしますので放置は厳禁です。治療の選択肢としては抜歯と、歯の神経を抜く抜髄根管治療があります。

噛んで食べる楽しみを失わせたくない、ということであれば定期的な検査は必要になるものの、抜髄根管治療を推奨します。今回のわんちゃんは2歳、ミックス犬。硬いおやつを食べたら歯がかけたということで来院されました。写真の通り、欠けた歯が歯肉に一部くっついている状態でした。これは違和感が相当あったと思います。

全身麻酔下でラバーダム装着、仰向けの状態

この欠けた歯は第四前臼歯といって、一番かけやすい歯です。根っこが三つに分かれているので、それぞれの神経を綺麗に取り除き、管を太くして洗浄して、ガッタパーチャという樹脂を詰めていきます。よだれの雑菌が歯髄に入らないようにと、刺激性のある消毒剤が歯肉などにもれないようにラバーダムというシート(写真の青いシート)をかけます。

ファイルという金属のやすりのようなもので、煙突掃除のように一本一本の神経の通っていた根管を清掃します。

その後、殺菌効果のあるバイオセラミックシーラーというものと、ガッタパーチャという樹脂(写真のベージュの棒のようなもの)で充填します。

レントゲンではこのように映ります。その後、コンポジットレジンという被せ物で歯の形を形成して終了です。

その後は定期的なレントゲン写真をとり、経過を観察します。再発防止のために、硬いおやつはやめてもらいます。

 

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