【歯科の緊急症例】猫が急に口を気にし出した、口が閉じない

数日前からご飯の食べが悪くなったという猫ちゃん。もともと人慣れがしておらず、よく口を見ることができませんでしたが、気にしている様子とのこと。来院時も左上の犬歯が怪しいということは洗濯ネットごしにわかりましたが、それ以上はパニックとなり検査が難しいと判断。鎮静をかけて、しっかりと口の中を観察することにしました。すると・・・

ご覧のように、左上の犬歯が抜けかかっていました。指で触るとぐらぐらとして、口が閉じられなくなっていたのでしょう。

横からみたところ

この状況は猫ちゃん特有の症状です。歯周病が進むと、歯が押し出されてくる「挺出(ていしゅつ)」という状態です。歯が伸びてきたと思われがちですが、実際は押し出されており、これが意外と抜けそうで抜けないためこのような状態に陥ることがあります。鎮静下で夕方の緊急処置でしたのでひとまず犬歯を抜きました。

周囲の骨(歯槽骨)もふくらんでいるため、本来は全身麻酔下で綺麗に処置して穴を縫合してあげたいところでしたが、今回は断念。血餅で塞がるのを期待します。「うちのこも歯が伸びてきているなあ」という飼い主さんはぜひご相談ください。最悪、こういった緊急状態になることがあるため、注意して観察しましょう。

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